ルアーフィッシングではPEラインを使用する際にリーダーを結束する必要がありますが、どのノットが一番いいのか気になっている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、シーバスフィッシングやバスフィッシング、チニング等で使用されるFGノットやSCノット等の有名どころのノットについて、強度、結びやすさ、ガイドの抜け具合の観点から、一番良いノットがどれか比較してランキング形式で紹介したいと思います。
一番強いノットはこれだ!リーダー&PE、結束強度ランキング
今回比較したノットの一覧
今回比較した結束方法の一覧は以下の通りです。
- FGノット
- 10秒ノット
- トリプルエイトノット
- フィッシャーマンズノット改
- SCノット
結束強度の測定方法
今回の実験では、強度は以下の条件で算出しています。
- PEは3号、リーダーはフロロ40lbを使用(ともに新品)
- デジタルスケールを使ってラインがブレイクした時の強度を記録
- デジタルスケールとの結束部分への負荷を下げるためにチューブを使用
- 結束強度を算出する際の分母については、PEラインを結束なしで負荷テストを実施した際の3回の平均値である9.5kgをもとに算出
一番いいPEとリーダーの結束方法は?
早く結果が知りたい方が多いと思うので、「結束強度」「結びやすさ」「ガイドの抜け具合」の観点で比較した結果をまとめたランキング表がこちらです。
順位 | 結束方法 | 結束強度 | 結びやすさ | ガイドの抜け具合 | 用途 |
---|---|---|---|---|---|
1 | FGノット | 121% | 3 | 5 | シーバス、チニング、バス釣り、ジギング等 |
2 | SCノット | 67% | 4 | 5 | シーバス、チニング、バス釣り、ジギング等 |
3 | 10秒ノット | 67% | 5 | 2 | ライトゲーム |
4 | フィッシャーマンズノット改 | 65% | 4 | 3 | シーバス、チニング、バス釣り |
5 | トリプルエイトノット | 58% | 5 | 2 | ライトゲーム |
「結束強度」「結びやすさ」「ガイドの抜け具合」の観点から、総合的に一番良いノットとなったのはFGノットでした!
結束強度は圧巻の121%で、結びやすさは3点と他のノットに劣るものの、ガイドの抜け具合についても申し分なく非常にバランスの取れたノットでした。
次点でSCノット、10秒ノットと続きますが、結束強度の観点からFGノットと大きく差が出てしまうので、シーバスフィッシングやバス釣り、チニングで使用するならFGノットをマスターしておけば問題なさそうです。
ちなみにFGノットの強度に不安がある方は、第一精工のノットアシスト2.0というアイテムを使えば誰だも簡単・確実にFGノットを結べるのでオススメです!
ノットアシスト2.0の使い方やインプレはこちら
FGノットの特徴
FGノットの特徴を簡単にまとめると、結束強度・ガイドの抜け具合・安定感をトップクラスで兼ね備えた非常にバランスの取れたノットです。
正直、FGノットをしっかりマスターしておけば大体の釣りはカバーできると思います。
結束強度 5
結束強度は文句なしの5です。
強度実験を実施した結果を表にまとめてみたのですが
ノット名 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均値 | 結束強度 |
---|---|---|---|---|---|
FGノット | 12kg | 10.6kg | 12kg | 11.5kg | 121% |
結束強度=11.5kg/9.5kg
=121%
と、結束強度が非常に高いことが分かります。
今回実験に使用した未使用のPEライン3号は結束なしで強度実験を行ったところ、3回の平均値が9.5kg程度となったので9.5kgを基準に計算したのですが、リーダーを結束しない場合に比べて強くなってしまいました。
実際には結束前よりも強いということはないので、結束なしの状態でも結び目に負荷がかかってしまったということだとは思いますが、それでもFGノットが結び目に負荷をかけにくく、頑丈であることはよくわかるかと思います。
結びやすさ 3
FGノットは慣れない方にとっては結びにくかったり、慣れていないとすっぽ抜けてしまうことから、結びやすさについては3としてみました。
ただし一度マスターしてしまえば簡単に結べる他、FGノットに関してはノットアシスト2.0等のツールを使えば誰でも簡単・確実に結べるようになるのが嬉しいですね。
ガイドの抜け具合 5
FGノットのガイドの抜け具合は文句なしの5です。
FGノットは結び目が非常に小さく、トップガイドにもひっかかることがないので、ガイド抜けが良くキャストした時に飛距離が落ちることはほぼないと思います。
安定感 5
PEとリーダーを結束する際に必ずと言っていいほど話題に挙がるのがすっぽ抜け。
他のノットでは強度の実験中に丁寧に結んで、手で強めに引っ張ってから実験してもすっぽ抜けてしまうことが何度もあったのですが、FGノットに関しては実験中から唯一、すっぽ抜けが一度もありませんでした。
他のノットとの安定感がケタ違いなので、安心してキャスト、ファイトすることができます。
SCノットの特徴
SCノットの特徴を簡単にまとめると「FGノットの次に強度、結びやすさ、ガイド抜けの良さのバランスがとれたノット」といった印象です。
FGノットと同程度のガイド抜けの良さ、そしてFGノットよりも結びやすいというメリットがあるものの、FGノットよりもすっぽ抜けが多いのが不安材料ではあります。
結束強度 3
結束強度は3で、FGノットと同様の負荷実験を行った結果がこちらです。
ノット名 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均値 | 結束強度 |
---|---|---|---|---|---|
SCノット | 7kg | 7.8kg | 4.3kg | 6.4kg | 67% |
結束強度=6.4kg/9.5kg
=67%
1回目、2回目はFGノットには劣るものの高水準だったのですが、最後にすっぽ抜けがあったため結束強度は67%という結果となりました。
しっかり結び方をマスターして安定して7kg程度の強度が出せればシーバス、チニングあたりでは十分使えると思うのですが、FGノットでカバーできしまうので、個人的にはわざわざSCノットを使う必要はないかなと思います。
結びやすさ 4
結びやすさは4です。
結び方としては二つ折りにしたPEラインをリーダーにぐるぐると巻き付け、輪の中に通して締めこむというシンプルなものなので、初めての方でもFGノットよりは抵抗が少ないかと思います。
ガイド抜けの良さ 5
ガイド抜けの良さに関してはFGノットと同じく5です。
結び目も小さい他、カットしたリーダーの向きもキャスト時にガイドに逆らうことがないのでトラブルが起こりにくい他、飛距離のロスを抑えられると思います。
安定感 3
安定感は3です。
結束時に丁寧に締め込みを行い、負荷実験の前も手で強めに引っ張ってすっぽ抜けがないか確認したのですが、実験時にはすっぽ抜けてしまうことがあることから安定性には欠けるという印象を受けました。
ただし現時点ですっぽ抜けがなく、十分な強度を出せているのであればSCノットもバランスの取れたノットなので、全く問題なく使用できると思います。
ただしFGノットと違って道具を使った結束ができず誰でも安定感を出すことができるわけではないので、これから新しくノットを覚えるのであればFGノットに軍配が上がります。
10秒ノットの特徴
10秒ノットは名前の通り”10秒で結べるほど簡単なノット“ということから、簡単に結べるノットとして非常に有名です。(ただし実際に試すと10秒で結ぶのは恐らく不可能)
手軽に結べるノットではあるものの、強度や安定感に欠ける印象があり、シーバスやチニングでは強度が足りないため、ライトゲーム専用といった印象です。
結束強度 3
結束高度は3で、負荷実験を行った結果がこちらです。
ノット名 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均値 | 結束強度 |
---|---|---|---|---|---|
10秒ノット | 4.7kg | 8.5kg | 5.9kg | 6.4kg | 67% |
結束強度=6.4kg/9.5kg
=67%
結束強度は67%ということでSCノットと同じように見えますが、10秒ノットの最大の売りである手軽さを捨て、しっかりと時間をかけて組んだ結果なので、実際に10秒そこそこで結んでいたら半分以下の数値になっていた可能性もあります。
結びやすさ 5
結びやすさに関しては文句なしの5です。
二つ折りにしたリーダーにPEラインをぐるぐると巻き付けて、グッと締めこむだけなので、初めての方でも2-3回練習すればすぐにマスターできると思います。
ガイド抜けの良さ 2
ガイド抜けに関しては低めの2です。
結び目自体はそれほど大きくないものの、カットしたリーダーの向きがキャストした際の進行方向に逆らうように伸びるため、トラブルや飛距離のロスの原因となりやすいです。
安定感 3
手軽に結べるノットではあるものの、手軽さの代償として犠牲になるのが強度と安定感。
結んだ後に手でしっかりと引っ張って確認したのに、いざ負荷をかけてみると2kg程度の力ですっぽ抜けるということが何度もありました。
ライトゲームでは十分な強度かもしれませんが、シーバスやチニング等では物足りなさを感じてしまうので、シーバスやチニングで使用する場合は他のノットをマスターした方がいいかと思います。
フィッシャーマンズノット改の特徴
FGノット、SCノットに次いで有名なPEとリーダーの結束方法であるフィッシャーマンズノットですが、一言で特徴をまとめると「強度がやや物足りないものの、簡単で安定感がある」といった印象です。
ただしFGノットの次にすっぽ抜けが少なく安定感があるので、フィッシャーマンズノットで強度が十分だという場合は実用的なノットであると言えます。
結束強度 3
結束高度は3で、負荷実験を行った結果がこちらです。
ノット名 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均値 | 結束強度 |
---|---|---|---|---|---|
10秒ノット | 6.2kg | 5kg | 7.3kg | 6.2kg | 64.9% |
結束強度=6.2kg/9.5kg
=64.9%
釣りではドラグや竿のしなりもあるのでシーバス、チニング等で全く使えないという訳ではないのですが、不意にかかった大物がピックアップ直前で暴れた時に衝撃を吸収できずにラインブレイク…といったトラブルもあるかもしれないので、同じPEとリーダーを使ってもっと強度が出せる結び方があるなら、個人的には別の結び方を選ぶなと思いました。
結びやすさ 4
結びやすさについては結びやすい部類の4です。
何度か練習すれば釣り場でもサッと結べるようになると思います。
ガイド抜けの良さ 3
結び目がやや大きいものの、カットしたリーダーの向きがキャストに逆らわないため、それほど飛距離のロスやライントラブルにはつながらないかなと思います。
FGノットやSCノットに比べると飛距離のロスも大きくなりそうではあるものの、十分実用レベルだと思います。
安定感 4
安定感は4と、信頼できるノットだと思います。
FGノットに次いですっぽ抜けが少なく、誰が結んでも同じような強度が出せるので、FGノットほど強度が不要で簡単に結びたい場合はフィッシャーマンズノット改がピッタリだと思います。
トリプルエイトノットの特徴
トリプルエイトノットの特徴を一言でまとめると「強度は物足りないものの、最速のノットと言ってもいいほど早く結べる」といった印象です。
10秒ノットよりも簡単で早く結べるので、強度がそれほど必要とされないライトゲームでよく使用されています。
結束強度 2
結束強度は2で、負荷実験を行った結果がこちらです。
ノット名 | 1回目 | 2回目 | 3回目 | 平均値 | 結束強度 |
---|---|---|---|---|---|
10秒ノット | 6.7kg | 3.3kg | 6.5kg | 5.5kg | 57.9% |
速さに特化したノットということで強度の面では物足りない結果に。
ただし冒頭でも紹介した通り、強度がそれほど必要でないジャンルであれば十分活躍できます。
シーバスやチニング、バス釣りでは避けた方がよさそうです。
結びやすさ 5
今回紹介したノットの中では最も簡単で早く、その手軽さは10秒ノットをはるかにしのぐので、少し練習すれば釣り初心者の方でもすぐにマスターできます。
筆者も目の前でナブラが起こっている時など、時間勝負でどうしてもすぐにキャストしなければならない時には迷わずこのノットを選びます。(対象魚が50cm以下に限る)
ガイド抜けの良さ 2
ガイド抜けについてはかなり低めの2です。
結び目が大きく、キャストした際の飛距離に影響しやすいことからガイド抜けはかなり悪いと言えます。
もしリーダーを長めに取らなくてもいい場合、結び目をガイドの外に出すのが良いです。
安定感 3
安定感は3です。
素早く結べるものの速さと引き換えに安定感を犠牲にしているので、しっかり結べた時の強度はそれなりにあるものの、すっぽ抜けについては起こってしまいます。メインのノットとして使うには少し不安なレベルといった印象です。
総評
今回は5種類のノットについて「結束強度」「結びやすさ」「ガイド抜けの良さ」といった観点から比較してみましたが、ある程度強度が求められるシーバス、チニング、バス釣りあたりではFGノットが最もバランスが取れていると感じました。
結びやすさが少し難しいものの、バランスが良くルアーフィッシングの定番ノットとなっている理由がわかりますね。
筆者も初めは結びやすさの手軽さからトリプルエイトノットを覚えたのですが、実用性の面からFGノットを使うようになったので、もしこれからノットを覚えようとしている方がいれば、少し手間がかかってもFGノットをマスターするのが良いかなと思います。
今回はPEとリーダーの結束方法について紹介しました。
ちなみにスナップとリーダーの結束方法についても同様に比較を行っているので、気になる方はこちらの記事もご覧ください。