ノットの疑問|焼きコブはいる?その他の疑問を実際に測定して検証!

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ルアーフィッシングに必須のスキルと言っても過言ではないノットですが「焼きコブを作るとすっぽ抜けなくなる」「ハーフヒッチの回数は〇回じゃないとダメ」といったようにいろんな理論があり、何が正しいのかわからない方も多いのではないでしょうか?

そこで今回はそんなノットにまつわる疑問を解消すべく、実際に強度を測定して検証していきたいと思います!

ノットの疑問|焼きコブはいる?その他の疑問を実際に測定して検証!

実験の前提を紹介

まずは今回の実験の前提について簡単に紹介します。

使用するラインやリーダー、結束方法などによっても結果は変わってくると思うので、今回は下の前提で実験を行いました。

  • ラインはPE1.5号リーダーはフロロ6号
  • 結束はノットアシスト2.0を使ったFGノット
  • 強度は3回測定した平均値で比較
  • ラインを引っ張って破断した時の数値をデジタルスケールで測定
  • ラインを引っ張る前はラインを湿らせる

これらの前提で実験を進めていきます。

今回、実験する内容

ノットにはいろんな疑問があるのですが、今回はこちらの3つを実際に試して強度を比較していきたいと思います。

  • 焼きコブを作ると本当に強度が高くなる?
  • ハーフヒッチの回数で強度は変わる?
  • 締め込み前にラインを湿らせないと強度が下がるのは本当?

それではそれぞれについて、強度を測定していきます!

①焼きコブを作ると強度が高くなる?

FGノットに限らず、ノットを組む上で議論が白熱しやすいのが「焼きコブの有無」について。

リーダーの端を炙ってコブを作ることですっぽ抜けがしにくくなるというもので、僕もノットを組む時には焼きコブを作る派なのですが、中には「焼きコブなんて意味がない」という方も。

果たして焼きコブは意味があるのか、ないのか、実際に強度を測定して実験していきましょう!

焼きコブありの場合

まずは焼きコブありの場合を測定していきます。

FGノットについては第一精工のノットアシスト2.0を使用し、20回締めこみます。

その後、仮止めを行った後にラインをカットし

FGノットを結ぶ時に、ライターでリーダーの端を炙って焼きコブを作る様子

ライターでリーダーの端を炙って焼きコブを作ります。

ライターでライターの端を炙って焼きコブを作ったFGノット

あとはハーフヒッチ5回→エンドノットで締めこんで、完成です!

では実際に焼きコブありのパターンで強度を測定していきます。

デジタルスケールに引っ掛けて、力を加えてみると…

焼きコブを作ったFGノットの強度を測定

2kgまでは耐えられたのですが、更に力を加えるとラインがブレイクしました!

1回目の結果は3.2kgです。

続く2回目、3回目も同様に実験を行いました。

そして3回実施した結果を表にまとめたものがこちらです。

1回目2回目3回目平均値
3.2kg4.6kg5.1kg4.3kg
焼きコブありのFGノットの強度を測定した結果

3回測定した平均値は4.3kgとの結果に!

1回目が3.2kg、3回目が5.1kgということで結果に開きがあるような気がしますが、初回ということでこれが強いのか弱いのかについては判定できず。

ということで、焼きコブなしのパターンの強度を測定していきます。

焼きコブなしの場合

続いて焼きコブなしの場合について。

焼きコブありと途中までは同じなのですが

焼きコブなしのFGノットの強度を測定

2回締めこんだ後、リーダーをカットするも焼きコブは作らず

そのままハーフヒッチ5回→エンドノットで完成です。

焼きコブを作らないところ以外は全て、条件を変えずに組んでみました。

それでは先ほどと同様に、デジタルスケールで強度を測定してみます。

すると…

初回から焼きコブありのMAXを上回る数値が…!

これが単なる上振れなのか、続く2-3回目も測定していきます。

結果を集計して表にまとめたものがこちら。

1回目2回目3回目平均値
6.1kg5.7kg5.4kg5.7kg
焼きコブなしのFGノットの強度を測定した結果

3回の平均値が5.7kgとの結果となりました!

焼きコブありの平均値が4.3kg、焼きコブなしの平均値が5.7kgということで、わかりやすいように表にまとめてみました。

焼きコブの有無1回目2回目3回目平均値
焼きコブあり3.2kg4.6kg5.1kg4.3kg
焼きコブなし6.1kg5.7kg5.4kg5.7kg
焼きコブあり、なしの場合で強度の比較を行った結果

するとなんと、数値的には焼きコブがない方がノットの強度が高いという結果に!

これはなんということでしょう…

今まで焼きコブがあった方が強度が高いと信じ、ノットを組む時は焼きコブを作っていたのですが、まさかのコブがない方が強度が高いということに。

平均値も1.4kgの差ということでブレの範囲を超えていそうですし、最大値も焼きコブなしの方が高いことから、焼きコブが強度に悪い影響を与えていそうな気がします。

考えられることとしては

  • PEラインは熱に弱いので、ライターで炙った時に傷んでしまった
  • ラインを引っ張った時に焼きコブがラインに悪さをしていた

といった可能性があるのではないかと思いました。

いずれにせよ結果だけ見ると、良かれと思って作っていた焼きコブが強度の面では逆効果となっていたというのは十分あり得そうですね。

ハーフヒッチの回数で強度は変わる?

続いて気になるのが「ハーフヒッチの回数で強度は変わるのか」について。

FGノットでは編み込んだ後に、ハーフヒッチで何度か締めこんでからエンドノットを結ぶのですが、この締め込みの回数にも5回がいいとか10回がいいとかいろんな説があります。

そこで今回はハーフヒッチの回数で強度が変わるのかを確かめるべく、5回の場合と10回の場合で強度を比べてみました。

ハーフヒッチ5回の場合(→省略)

ではまずはハーフヒッチ5回の場合について。

実は5回の場合は先ほどの焼きコブの時に実験済みなので、今回は強度の高い焼きコブなしの場合の数値を転用することにします。

1回目2回目3回目平均値
6.1kg5.7kg5.4kg5.7kg
ハーフヒッチ5回のFGノットの強度を測定した結果

ハーフヒッチ10回の場合

続いてハーフヒッチが10回の場合について。

ハーフヒッチが5回の時と途中までは全く同じで、まずは20回締め込み、焼きコブを作らずにハーフヒッチを10回行います。

最後にエンドノットで締めこんで完成です。

ハーフヒッチの回数を増やすとノットの強度が変わるのか実験している様子

上の画像はハーフヒッチの回数が5回(下)と10回(上)のものなのですが、ハーフヒッチが10回のものはリーダーの端からの長さが長くなっているのが分かります。(※画像は焼きコブありとなっていますが、実験は焼きコブなしで行いました)

では実際にハーフヒッチ10回のFGノットを引っ張ってみると

1回目から6kg越えというなかなかの数値!

今回も3回の平均値で比較するため、2-3回目も測定してみました。

結果を表にまとめたものがこちらです!

1回目2回目3回目平均値
6.1kg6.2kg6.0kg6.1kg
ハーフヒッチが10回の時のFGノットの強度

3回の平均値は6.1kgと、6キロの大台に乗りました。

ではハーフヒッチが5回の時と10回の時で、同じ表に並べてみると

ハーフヒッチの回数1回目2回目3回目平均値
5回6.1kg5.7kg5.4kg5.7kg
10回6.1kg6.2kg6.0kg6.0kg
ハーフヒットが5回の時と、10回の時の強度の測定結果

数値的にはハーフヒッチ10回の時の方が、5回の時の時よりも0.3kgほど高いとの結果となりました。

ただし数値の差が0.3kgと誤差の範囲と言えなくもないことや、MAXの強度に差がないことから

  • ハーフヒッチの回数はそれほど強度に影響しない
  • 影響する場合、下振れが少なくなる

といったことが考えられそうかと思いました。

締め込み前に湿らせるかどうかについて

最後にFGノットで締めこむ前にラインを湿らせるかどうかについて。

実は摩擦系のノットでは「ラインを締め込む際に必ずPEラインを湿らせる」というものがあるのですが、果たしてこれは本当に意味があるのでしょうか?

ということで今回は、締め込み前にラインを湿らせたものと、湿らせずに締めこんだもので強度を比較してみました。

締め込み前に湿らせた場合(→省略)

まず締め込み前にラインを湿らせた場合ですが、今回の実験ではこれまでのノットは全て締めこむ前に湿らせているので、焼きコブなしのノットの数値を転用します。

1回目2回目3回目平均値
6.1kg5.7kg5.4kg5.7kg
締め込み前にラインを湿らせた場合のFGノットの強度を測定した結果

ラインを湿らせずに締めこんだ場合

続いて本題の締め込み前にラインを湿らせない場合について。

こちらも締めこむまでの動作は全く同じで、ラインを20回編み込んだ後に

ここで本来は仮止めした後に、編み込んだ場所を中心にラインを湿らせてからギューッと締めこむのですが

FGノットで結び目を湿らせずに締めこむとノットの強度が下がるのか実験

今回は敢えてPEラインを湿らせずにギューッと締めこんでみました。

それでは締めこむ際にラインを湿らせずに結んだノットの強度を測定していきます。

すると…

1回目は4.8kgでブレイクしました。

ラインを湿らせた時と比べると、初回から少し低い数値が出て雲行きが怪しい様子。

では続く2-3回目も測定し、結果を表にまとめてみました。

すると

1回目2回目3回目平均値
4.8kg4.9kg4.5kg4.7kg
締め込み前にラインを湿らせない場合のFGノットの強度を測定した結果

3回の平均値は4.7kgとなりました。

締め込み前にラインを湿らせたものと並べてみると、結果はご覧の通り。

ハーフヒッチの回数1回目2回目3回目平均値
湿らせる6.1kg5.7kg5.4kg5.7kg
湿らせない4.8kg4.9kg4.5kg4.7kg
ハーフヒットが5回の時と、10回の時の強度の測定結果

ラインを湿らせたものの方が、湿らせてないものよりも1kgほど強度が高いとの結果になりました。

この結果を見ると平均値に1kgとある程度の差があることや、湿らせていない場合の数値が3回とも安定していることから

  • ノットの締め込み前はPEラインを湿らせないと強度が下がる

ということが言えそうです。

たった「ラインを濡らす」という動作一つで強度に差が出るというのは非常に興味深いですね。

今回はノットにまつわる疑問ということで

  • 焼きコブを作ると強度が上がるというのは本当か?
  • ハーフヒッチの回数は強度に影響するのか?
  • 締め込み前にPEラインを濡らすのは意味があるのか?

といった内容について検証してみました。

ノットについてはいろんな説が出回っているものの、データで語られることが少ない世界なので、機会があれば他の説についても実験してアップしたいと思います!

他にもリーダーの結束方法ごとの強度の比較や、スナップを結ぶときの強度の比較も行っているので、気になる方はこちらの記事もご覧ください!

この記事を書いた人
なるフィッシュ

SNS総フォロワー数4万人の釣り情報メディア「釣りの知恵袋」なるフィッシュの管理人で、Yahoo!ニュースエキスパートとしてYahoo!ニュース等で釣りに関する情報を発信するWEBライター。
2020年から釣りに関するアイテムや情報の情報を発信し、今までに得た釣りのノウハウや、1,000種類以上の釣具を試してきた経験から釣りに役立つ情報を皆様にお届けします。

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